【兼業農家になりたい人へ】新規就農者が利用できる3つの補助金制度

読者の悩み

新規就農者むけの補助金は、内容が難しくてよく分かりません…

どんな補助金の制度があるの?
どうやって手続きすればいいの?

こういった悩みにお答えします。

新しく農業を始めたい人にとって、悩みの種のひとつは「資金」ですよね。

農地を買ったり、機械や設備を整えたり、始めるときには多くの資金を必要とします。

現在、農家の高齢化にともない農業経験者が減り続けていることから、国は新規就農者をサポートするさまざまな制度や支援をおこなっています。
新しく農業を始めたい人にとっては、ぜひ利用したい制度ですよね。

しかし、この新規就農者むけの補助金制度は、専門用語が多くて分かりにくいもの。
どんな補助金の制度なのか、どんな手続きなのか、複雑でむずかしいですよね。

ここでは、新規就農者が利用できる補助金制度について、ひとつひとつ分かりやすくまとめてみました。

目次

新規就農者が利用できる補助金制度は3つ

【これから農業を始めたい人むけ】新規就農者が利用できる3つの補助金制度
  1. 農業次世代人材投資資金(準備型)
  2. 農業次世代人材投資資金(経営開始型)
  3. 青年等就農資金(無利子融資)

この3つの補助金制度について、ひとつひとつ解説します。

【農業を始める前】農業次世代人材投資資金(準備型)

【これから農業を始めたい人むけ】新規就農者が利用できる3つの補助金制度

農業次世代人材投資資金(準備型)とは?

ポイントは農業を始める前!

農業次世代人材投資資金(準備型)は、農業を始める前、研修を受けている間の収入を確保してくれる制度です。
年間150万、最長2年間、資金を受けることができます。

自分で農業を始めたい人(独立・自営就農)はもちろん、農業法人で就職したい人(雇用就農)や家業である農業を継承する人(親元就農)も対象になります。

交付条件がいくつかありますが、農業を始めたい人にとっては生活コストを抑えながら研修に集中できる環境を整えることができます。

農業を始めたい人すべてに当てはまる制度です。

経済的な不安が少しでも解消できますね。

農業次世代人材投資資金(準備型)の交付内容

研修期間中に年間150万、最長2年間交付されます。

夫婦がそれぞれ申請すれば、2人とももらうことができます。

農業次世代人材投資資金(準備型)の交付要件

スクロールできます
交付要件内容
年齢原則、50歳未満で就農すること
研修について都道府県が認めた研修機関(農業大学校など)でおおむね1年以上の研修を受けること
1年につき、おおむね1,200時間以上

研修機関は先進農家・選新農業法人を含む
研修後⇒独立・自営就農する人就農後5年以内に「認定農業者」または「認定新規就農者」(※)になること
研修後⇒雇用就農する人農業法人に就職すること
研修後⇒親元就農する人就農後5年以内に経営を継承すること

または農業法人の共同経営者になること
前年の世帯所得原則、前年の世帯(親子および配偶者の範囲)の所得が600万円以下であること
一農ネット原則、加入すること

「認定農業者」「認定新規就農者」については記事の後半にてくわしく説明します。

青年新規就農者と農林水産省が直接つながる、青年新規就農者のためのネットワークです。
「一年生農業者」を対象に、将来は「一生農業でがんばる者」に育ってほしいとの想いを込めて、愛称を「一農(いちのう)ネット」としました。

引用:農林水産省

対象外となるケースがあります

研修中は、常勤の雇用形態を締結していないことが条件です。

生活保護や求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の制度との重複はできません。

返還の対象となる5つのケース

  • 適切な研修をおこなっていない場合
  • 研修終了後、1年以内に原則50歳未満で就農しなかった場合
  • 補助金交付期間の1.5倍(最低2年間)の間、就農を継続しなかった場合
  • 独立・自営就農を目指す人が、就農後5年以内に「認定農業者」または「認定新規就農者」になれなかった場合
  • 親元就農を目指す人が、就農後5年以内に経営を継承しなかった、または農業法人の共同経営者になれなかった場合

農業次世代人材投資資金(準備型)を受け取った期間が1年であれば、最低2年間、2年であれば3年以上は農業を続けなければなりません。

農業次世代人材投資資金(準備型)を受け取ったのちに、「途中で農業をやめる」「農業以外の仕事を始める」ということはできません。

農業を続けなかった場合、受け取った資金は返還をしなければなりません。

デメリットとして把握しておきましょう。

農業次世代人材投資資金(準備型)の手続き方法

農業次世代人材投資資金(準備型)は、農業をおこなっている地域の都道府県、または育成センター(青年農業者等育成センター)が窓口です。

農業次世代人材投資資金(準備型)は、農業を始める前のステップとして活用できる制度です。

1 交付申請提出

農業をおこなっている地域の都道府県、または育成センター(青年農業者等育成センター)が窓口になっています。
交付申請書をはじめとして、手続きにはさまざまな書類が必要です。

2 書類審査

都道府県にて事業計画の審査がおこなわれます。

3 審査決定後交付

都道府県で審査が通ったのちに、資金が交付されます。

4 定期的な報告

半年ごとに「交付申請と研修状況報告」、毎年7月末と1月末に「就農状況報告」、就農後1ヶ月以内に「就農報告」を提出します。

【農業を始めた後】農業次世代人材投資資金(経営開始型)

【これから農業を始めたい人むけ】新規就農者が利用できる3つの補助金制度

農業次世代人材投資資金(経営開始型)とは?

ポイントは農業を始めた後!

農業次世代人材投資資金(経営開始型)は、農業を始めた後の生活の安定を支援してくれる制度です。
年間150万、最長5年間、資金を受けることができます。

農業を始めてから経営が軌道に乗るまで、一般的には約3年はかかるといわれています。
農業収入が安定するまでの補助として利用することができます。

また、農業次世代人材投資資金「準備型」と「経営開始型」の2つを合わせると、最長7年間支援を受けることができます。

農業次世代人材投資資金の「準備型」と「経営開始型」はまったく別の制度です。

「準備型」の資金を受け取っていても、受け取っていなくても、どちらの場合でも「経営開始型」は申請できますよ。

農業次世代人材投資資金(経営開始型)の交付内容

年間最大150万、最長5年間交付されます。

特例として、夫婦で農業する場合は、夫婦合わせて1.5人分がもらえます。
また、複数の新規就農者が法人を新設して、共同経営をおこなう場合は、新規就農者それぞれに最大150万円交付されます。

農業次世代人材投資資金(経営開始型)の交付要件

スクロールできます
交付要件内容
年齢独立・自営就農の時の年齢が50歳未満の「認定新規就農者」(※)であること

農業に対して強い意欲があること
就農スタイルについて独立・自営就農であること

親元就農や経営継承の場合は、新規参入者と同じような経営リスクがあると認められること
農業経営について農業経営開始5年目までに農業で生計が成り立つ実現可能な計画があること
人・農地プランついて市町村が作成する「人・農地プラン」に中心となる経営体として位置づけられていること

または、農地中間管理機構から農地を借り受けていること
前年の世帯所得原則、前年の世帯(親子および配偶者の範囲)の所得が600万円以下であること
一農ネット原則、加入すること

「認定新規就農者」については記事の後半にてくわしく説明します。

人・農地プランとは、農業者が話合いに基づき、地域農業における中心経営体、地域における農業の将来の在り方などを明確化し、市町村により公表するもの

引用:農林水産省

対象外となるケースがあります

生活保護や求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の制度との重複はできません。

また、原則として、農の雇用事業での助成金を受けたことがある農業法人等は対象となりません。

交付中止となる3つのケース

  • 本人の前年の総所得(農業次世代人材投資資金は除く)が350万以上の場合
  • 適切な農業経営をおこなっていない場合
  • 交付3年目の中間評価において、経営の改善が見込まれないと判断された場合

「経営開始型」は、所得に応じて減額する仕組みとなっています。

前年の所得が100万円までは満額150万もらえ、100万円を超えると一定の割合で減額されていきます。
所得が350万円以上になると「経営開始型」の交付金は支給されません。

返還の対象となるケース

準備型と同様に、交付期間と同じ期間以上、農業を継続しなかった場合は返還となります。

農業次世代人材投資資金(経営開始型)を受け取った期間が1年間であれば1年以上、2年間であれば2年以上は農業を続けなければなりません。
準備型と同じように、農業次世代人材投資資金(経営開始型)を受け取った期間分は、農業を勝手にやめることはできません。

経営開始型の資金だけをもらって、離農することができない仕組みになっています。

受け取った期間内に離農した場合は、資金は返還しなければなりません。

農業次世代人材投資資金(経営開始型)の手続き方法

農業次世代人材投資資金(経営開始型)は、農業をおこなっている地域の市町村が窓口です。
準備型とは申請する窓口がちがいますので、注意してください。

市町村は、新規就農者をサポートする体制を整えており、それぞれの就農者の課題に応じて支援しています。

1 交付申請提出

農業をおこなっている地域の市町村が窓口になっています。
交付申請書をはじめとして、手続きにはさまざまな書類が必要です。

2 書類審査

市町村にて事業計画の審査がおこなわれます。

3 審査決定後交付

市町村で審査が通ったのちに、資金が交付されます。

4 定期的な報告

半年ごとに「交付申請」、毎年7月末と1月末に「就農状況報告」を提出します。

5 中間評価

交付2年目が終わったのちに「中間評価」をおこない、今後の支援方針を決めます。

【認定新規就農者の場合】青年等就農資金(無利子融資)

【これから農業を始めたい人むけ】新規就農者が利用できる3つの補助金制度

青年等就農資金(無利子融資)とは?

「青年等就農計画」(市町村が認定をしたもの)をもとに、農業を始めるとき必要な機械・設備などの購入資金を無利子で借りることができる制度です。

無利子で3,700万(特例限度額1億)まで借り入れすることができます。
補助金ではありませんが、国の施策として日本政策金融公庫が融資をおこないます。

農業法人も青年等就農資金を申し込むことができます。

青年等就農資金(無利子融資)の交付内容

借入限度額は3,700万、特例限度額は1億です。

返済期間は17年以内(うち据置期間は5年以内)となっています。
実質、無担保・無保証人で借り入れすることができます。

青年等就農資金(無利子融資)の交付要件

農業を始めようとする人が「青年等就農計画」を作成し、市町村から認定されることが要件です。
市町村から認定された就農者を「認定新規就農者」といいます。

資金の使い道

  • 農業生産用の施設や機械
  • 農産物の生産、流通、加工施設や販売施設
  • 家畜の購入費
  • 果樹やお茶などの新種・改植費、育成費
  • 農地の借地料
  • 施設・機械のリース料
  • 農業経営に必要な資材費

農地の取得に関わる費用は対象外となりますので、注意しましょう。

青年等就農資金(無利子融資)の手続き方法

青年等就農資金は、農業をおこなっている地域の「日本政策金融公庫」が窓口になっています。
都道府県の普及指導センターや、市町村の農業関連の部署でも相談することができます。

金融機関から融資を借り入れる場合は、かならず金利が発生するため、返済総額の負担が大きくなります。

青年等就農資金は、無利子で長期に借り受けることができ、資金の使い道も幅広いため、新しく農業を始める人にとっては使いやすい融資です。

1 資金申込書提出

農業をおこなっている地域の「日本政策金融公庫」が窓口になっています。
経営改善資金計画書という計画書をはじめ、手続きにはさまざまな書類が必要です。

2 書類審査

日本政策金融公庫にて融資の審査がおこなわれます。

3 審査決定後融資実行

日本政策金融公庫で審査が通ったのちに、資金が融資されます。
日本政策金融公庫の審査を受け、融資が実行されるまでに1ヶ月半~2ヶ月程度の時間がかかります

【注意点】

青年等就農資金は国の施策であるため、年間の予算額が決められています。
日本政策金融公庫への申し込み順に融資決定がおこなわれ、年間の予算額を越した場合は締め切りとなります。

資金を受け取るまで時間がかかること、予算額を越したのちは受付できないことがありますので、余裕をもって準備を進めていきましょう。

「認定新規就農者」「認定農業者」とは?

【これから農業を始めたい人むけ】新規就農者が利用できる3つの補助金制度
「認定新規就農者」とは?

これから農業を始めようとする人が、自分の農業経営や目標、必要となる施設や機械などについてまとめた「青年等就農計画」を作成します。

市町村が、「青年等就農計画」を認定すると「認定新規就農者」となります。

対象者は、原則18歳から45歳未満、農業を始めてから5年以内です。

「認定農業者」とは?

すでに農業をおこなっている人が、生産規模の拡大や経営の管理を合理化したことについてまとめた「農業経営改善計画」を作成します。

市町村が、「農業経営改善計画」を認定すると「認定農業者」となります。

対象者は年齢制限がありません。

市町村の農業に関する基本方針に沿っていること、実現可能が見込める計画であることなどの認定要件があります。

農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)と青年等就農資金(無利子融資)は、「認定新規就農者」であることが交付要件です。

また、認定新規就農者の認定を受けることによって、このほかの支援を優先的に受けることができます。

それぞれの計画書を作成するには煩雑な事務作業になりますが、優遇措置や支援策などさまざまメリットがあります。
市町村の農業関連の部署など対応してくれる窓口が多くありますので、事前に相談しながら、計画書の作成を進めていきましょう。

まとめ

【これから農業を始めたい人むけ】新規就農者が利用できる3つの補助金制度

農家の高齢化が進み、離農、食料自給率の低下、耕作地の荒廃が課題となっています。

そこで国は、農業を始めたい人をバックアップするための施策や制度を整備し、充実させています。

また、令和元年度より、新規就農者の対象年齢を45歳未満から50歳未満に引き上げました
令和5年までには、農業を仕事にしている40歳以下の人を40万人に拡充することを目標としています。

新しく農業を始めたい人にとっては、追い風となるでしょう。
そして、これから農業を始められる余地はまだ十分にあります。

新規就農者にとっては、手厚い制度がたくさんあります。
これらの制度について理解を深め、農業を始めるステップにしましょう。

2021年月3現在の情報です。

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